平成28年 熊本地震災害調査

ダウンロード
平成28年熊本地震災害調査報告書(第1報).pdf
PDFファイル 9.5 MB

 平成28 年4 月14 日および16 日に発生した熊本県を中心とする地震被害について,特に,土構造物及び自然斜面の被害を中心とした被災事例の収集とその分類,要因分析することで被災地の長期復興計画の支援と我が国全体において今後想定される巨大地震に対する検討課題を整理することを目的とする,被害調査を行った.

 

 山間部では,斜面の至る箇所で崩壊が生じており,特に,表層破壊とみられる破壊形態が多数見受けられた.破壊規模が大きく,土木構造物を巻き込むような形態も見られた(例えば,阿蘇大橋).また,崩壊した土砂の表層が舗装や植生の影響を受けたのか,表層下が崩壊したり,舗装面等に引張による亀裂が生じているケースが多数発生していた.また,山間部では落石の発生も確認され,直径1m を超えるような比較的大きい石の移動が見られた.

 平野部では,特に河川周辺において液状化による噴砂と思われる箇所が多数見られた.それに伴い,河川堤防の沈下,周辺道路の変状が見られた.噴砂した地盤は砂質土で川砂と考えられ,可能性としては,河川浚渫土を用いて堤防に腹付けした砂質土が,本地震により液状化したことが考えられる.

 

 今回の災害において,亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、余震が続くなか,避難を余儀なくされておられます被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます.一日でも早く復興が進むことを切に願うとともに,私たち土木技術者がその船頭を切って,お力添えできるよう努める所存でございます.